パソコン関係の資格は、調べてみると、たくさん出てきます。
どの資格を取るのが良いのでしょうか?
目次
資格の考え方
実際に教室を運営していると、たくさんの方から、どんな資格があるのか? どの資格試験を受けるのが良いのか? というご質問をいただきます。
そして、この問いにはいろいろな切り口が考えられます。
確かに、調べてみると、いっぱい似たようなキラキラした名前の資格が出てくるので、迷ってしまうことでしょう。
私は、以前にも、資格全般についての考え方を整理した記事を書いていました。
それを踏まえた上で、今回はあえて、個別の資格について考察していきたいと思います。
資格の意味の記事でも書きましたが、誰に評価してもらうのか? が大事です。
今回は、他人、特に面識のない相手に評価してもらうことを前提に、考えていきます。
面識のない相手に評価してもらうには、レベルがよく認知され、受験者が多い試験を選ぶのがポイントです。
つまりそれは、ネームバリューがあるか? ということです。ネームバリューを考える上では、資格試験名だけでなく、資格試験の主催者がよく知られている団体か? というのも重要です。
あまり他に「主催者」という切り口でまとめられた情報がなかったので、今回はそれにチャレンジしてみます。
資格試験の主催者
以下に、パソコン関係の主な資格試験の主催団体を上げていきます。
- IPA 情報処理推進機構
- オデッセイコミュニケーションズ
- サーティファイ
- ICTプロフィシエンシー検定協会(ベネッセ)
- 日本商工会議所
- 全日本情報学習振興協会(全情協)
- 日本情報処理検定協会
- 職業教育・キャリア教育財団
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
IPA 情報処理推進機構
「情報処理の促進に関する法律」に基づき、経済産業省が認定する国家試験を主催する、独立行政法人です。パソコン・IT関係で、国家試験を主催している法人は他にないので、抜群のネームバリューです。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
ITパスポート | 120分 | 7,500円 | 全国で随時 | 各回約10万人受験 | 約50% |
基本情報技術者 | 150分+150分 | 7,500円 | 全国で春秋各1回 | 各回約10万人受験 | 約30% |
他にも高度な情報処理技術者試験を実施しています。
オデッセイコミュニケーションズ
MicrosoftやAdobe、Certiportなどのグローバルな認定試験の、日本国内運営で実績のある会社です。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
Microsoft Office Specialist (MOS) | 50分 | 8,580円~12,980円 | 全国で随時 | 1997年~国内累計470万人受験 | 不明 |
アドビ認定プロフェッショナル | 50分 | 8,580円~10,780円 | 東京・神奈川・京都のみ | 不明 | 不明 |
IC3(アイシースリー) | 50分 | 4,400円~5,500円 | 全国で随時 | 不明 | 不明 |
サーティファイ
40年近く前から情報処理関係の認定試験を実施し、MicrosoftやAdobeなどのアプリベンダー(販売者)系の認定試験で実績のある会社です。全試験合わせて年間約10万人受験。
ジュニア・プログラミング検定は、一部中学校入試での優遇もあります。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
Word文書処理技能認定試験 | 60分 ~ 15分+90分 | 5,900円~8,100円 | 全国で随時 | 累計約50万人受験 | 約90% |
Excel表計算処理技能認定試験 | 60分 ~ 15分+90分 | 5,900円~8,100円 | 全国で随時 | 累計約80万人受験 | 約80% |
Excelビジネススキル検定 | 40分~60分 | 6,500円~7,500円 | 全国で随時 | 不明 | 不明 |
PowerPointプレゼンテーション技能認定試験 | 60分 ~ 15分+90分 | 5,900円~7,100円 | 全国で随時 | 累計約7万人受験 | 約90% |
Accessビジネスデータベース技能認定試験 | 90分 ~ 15分+120分 | 5,900円~8,100円 | 全国で随時 | 累計約9万人受験 | 約90% |
ジュニア・プログラミング検定 | 30分 ~ 50分 | 2,400円~3,000円 | 全国で随時 | 不明 | 不明 |
Webクリエイター能力認定試験 | 60分~20分+90分 | 5,900円~7,500円 | 全国で随時 | 累計約3万人受験 | 約90% |
ネットマーケティング検定 | 80分 | 6,000円 | ウェブ受験 | 累計約1万人受験 | 約90% |
Illustratorクリエイター能力認定試験 | 40分+90分 ~ 50分+90分 | 7,600円~8,600円 | 全国で随時 | 累計約9万人受験 | 約70% |
Photoshopクリエイター能力認定試験 | 40分+90分 ~ 50分+90分 | 7,600円~8,600円 | 全国で随時 | 累計約9万人受験 | 約70% |
情報処理技術者能力認定試験 | 75分 ~ 90分+90分 | 5,200円~6,700円 | オンラインで年2,3回 | 累計約50万人 | 約60% |
ICTプロフィシエンシー検定協会(ベネッセ)
P検(ICTプロフィシエンシー検定試験)だけを開催しています。プロフィシエンシー(proficiency)とは、能力、スキルのこと。ベネッセコーポレーションと大学教授らが主体となっている組織です。一部大学・短大での入試優遇・単位認定もあります。1996年~累計約220万人受験。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
P検(ICTプロフィシエンシー検定試験) | 15分 ~ 30分+60分 | 0円~10,000円 | 全国で随時 | 年間約10万人受験 | 約30%~90% |
日本商工会議所
言わずと知れた商工会議所です。日商簿記検定が有名です。ネット受験ができます。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
日商PC(文書作成) | 30分 ~ 30分+60分 | 4,200円~10,480円 | 全国で随時(1級は年2回) | 不明 | 不明 |
日商PC(データ活用) | 30分 ~ 30分+60分 | 4,200円~10,480円 | 全国で随時(1級は年2回) | 不明 | 不明 |
日商PC(プレゼン資料作成) | 15分+30分 ~ 30分+60分 | 5,240円~10,480円 | 全国で随時(1級は年2回) | 不明 | 不明 |
日商プログラミング検定 | 30分 ~ 40分+40分 | 3,300円~6,600円 | 全国で随時 | 不明 | 不明 |
全日本情報学習振興協会(全情協)
元は文科省所管の財団法人でしたが、現在は一般財団法人。1998年~累計約120万人受験。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
【パソコン検定】タイピング試験 | 10分 | 4,400円~8,800円 | 全国で随時 | 不明 | 不明 |
【パソコン検定】パソコン技能検定(エクセル) | 40分~60分 | 5,500円~8,800円 | 全国で随時 | 不明 | 不明 |
【パソコン検定】パソコン技能検定(Ⅱ種) | 40分~90分 | 4,400円~9,900円 | 全国で随時 | 不明 | 不明 |
【パソコン検定】パソコン技能検定(インストラクター) | 120分 | 22,000円 | 全国で随時 | 不明 | 不明 |
日本情報処理検定協会(日検)
1985年設立。1987年~累計約640万人受験。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
日本語ワープロ検定 | 10分+20分 ~10分+20分+20分 | 1,800円~5,300円 | 年4回 | 不明 | 不明 |
情報処理技能検定(表計算) | 20分~30分 | 1,800円~5,300円 | 年4回 | 不明 | 不明 |
情報処理技能検定(データベース) | 20分~30分 | 1,800円~3,300円 | 年4回 | 不明 | 不明 |
文書デザイン検定 | 20分~30分 | 1,800円~3,300円 | 年4回 | 不明 | 不明 |
ホームページ 作成 | 20分~30分 | 1,800円~3,300円 | 年4回 | 不明 | 不明 |
プレゼンテーション作成 | 20分~30分 | 1,800円~3,300円 | 年4回 | 不明 | 不明 |
文章入力スピード認定試験(日本語) | 10分 | 1,500円 | 年4回 | 不明 | 不明 |
職業教育・キャリア教育財団
文科省後援 J検(情報検定)を主催。1988年~累計140万人出願。個人は、指定日にCBT(Computer Based Testing)で受験。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
情報活用試験 | 40分~60分 | 3,000円~4,500円 | 通年CBT | 各回約2千人受験 | 約40%~60% |
情報システム試験 | 60分~90分 | 3,000円~3,500円 | 通年CBT | 各回約3千人受験 | 約30%~50% |
情報デザイン試験 | 60分 | 4,000円~4,500円 | 通年CBT | 各回約1千人受験 | 約40%~90% |
専門特化型
いわゆるパソコン系資格試験とはちょっと違いますが、専門系の資格もご紹介します。
LPI-Japan
2000年に設立された、オープンテクノロジー技術者の認定をしているNPO。専門技術系の資格をいくつか実施。中でも、HTML5プロフェッショナル認定試験は、HTML / CSS (レベル1試験) および JavaScript(レベル2試験) に特化した資格。オンライン受験も可能。この資格の全員取得を推進する企業もあります。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
HTML5プロフェッショナル認定試験 | 90分 | 16,500円 | 全国で随時 | 不明 | 不明 |
イータイピング
タイピングに特化した企業のタイピングに特化した検定試験。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
タイピング技能検定 | 90分 | 2,750円~5,500円 | ウェブ受験 | 不明 | 不明 |
ウェブ解析士協会
ウェブ解析士に特化した一般社団法人のウェブ解析士認定試験。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
ウェブ解析士認定試験 | 60分 | 17,600円 | ネット受験 | 不明 | 不明 |
NTTコミュニケーションズ
NTT系列の一般企業。2001年より、インターネット検定「ドットコムマスター」を実施。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
インターネット検定 ドットコムマスター | 45分~80分 | 4,400円~8,800円 | 全国で随時 | 累計48万人受験 | 不明 |
JAGAT(日本印刷技術協会)
1967年に創立された経産省所管の公益社団法人。現在は、DTPエキスパート認証試験のみ実施。
試験名 | 試験時間 | 受験料 | 開催 | 規模 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
DTPエキスパート認証試験 | 120分+120分 | 15,000円 | 東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌で、3月・8月実施 | 不明 | 約50% |
どれを受験したら良いか
冒頭でお話しした通り、どの資格を受験したら良いかの基準として、今回はネームバリューで考えます。
資格試験自体のネームバリューと主催者のネームバリューの両方を勘案し、客観的な評価が分かれやすい場合は、これまで示してきた各表に記載の、受験料や規模、合格率から判断します。
受験料が相対的に高い割に規模が大きければ、人気がある=ネームバリューがある、ということになりますし、試験時間が長く合格率が低い場合は難易度が高いはずで、合格の価値が高い=ネームバリューがあると判断します。
逆に、試験時間が短くて合格率が高い試験なら誰でも受けやすいはずで、それなのに規模が小さかったり、受験料が安かったりする資格は、あまりネームバリューが高くないと言えるでしょう。
規模や合格率が「不明」な試験もたくさんありますが、本来これらは主催者側にとってアピールポイントになるはずで、目立つところに公表されていないということは、規模が小さく(不人気)、合格率が高い(合格価値が低い)資格試験と言えるでしょう。
なお、比較的新しく始まった試験では、累計受験者数は少なくて当たり前です。その上で、将来性がありそうであれば、早めにとっておくのも得策かもしれません。(同じ資格でも、規模が大きくなるほど難易度が上がる可能性があります。)
なお、試験データは2022年7月時点の「掲載情報」を基にしています。今後変わる可能性もありますので、ご留意ください。
以下に、大まかな分野ごとのおすすめを書いていきます。
タイピング
一般的な認知度からすると、以下の順になると思いますが、イータイピングは受験しやすいので、今後知名度が上がるかもしれません。
- 日本情報処理検定協会(日検)
- 全日本情報学習振興協会(全情協)
- イータイピング
オフィス系
オフィス系に関しては、昔は「パソコン検定」という名前がそこそこ認知されていました。しかし、現在は MOS(オデッセイコミュニケーションズ) がダントツの認知度で、他の知名度はだいたい以下のような順になるかと思います。
ただし、受験料や合格しやすさは、知名度に反比例するので、目的に応じて検討すると良いでしょう。
- オデッセイコミュニケーションズ
- 日本商工会議所
- サーティファイ
- 全日本情報学習振興協会(全情協)
- 日本情報処理検定協会(日検)
プログラミング系
プログラミング業界は元来、職人気質的なところがあって、なかなか簡単に資格のレベルを認めてもらえません。一般人を対象とした検定より、業界人が受験する資格の方が、難易度の高さと比例して、認知度も高くなります。
ただ、Scratchの子供プログラミングは、サーティファイと日本商工会議所だけが試験実施していますが、実際のレベルとは別で、認知度が高まっています。
- IPA 情報処理推進機構
- LPI-Japan
- サーティファイ
- 日本商工会議所
- 職業教育・キャリア教育財団
- 日本情報処理検定協会(日検)
クリエイティブ系
クリエイティブ系も、職人気質なので、なかなか資格のレベルを認めてもらえませんが、JAGATは業界団体でもあるので、単なるアプリ知識の認定試験よりも、そこそこ実務的なレベルとしての認知度がついてきています。
- JAGAT(日本印刷技術協会)
- ウェブ解析士協会
- サーティファイ
- オデッセイコミュニケーションズ
情報一般系
情報一般でくくると、非常にレベルがまちまちになりますが、若干、出題範囲にそれぞれの特色もあるため、目的に応じて検討すると良いでしょう。
- IPA 情報処理推進機構
- ICTプロフィシエンシー検定協会(ベネッセ)
- 職業教育・キャリア教育財団
- NTTコミュニケーションズ
- オデッセイコミュニケーションズ
- サーティファイ
- 全日本情報学習振興協会(全情協)
当スクールでの扱い
当スクールは、いずれの資格の試験会場にも認定校にもなっておりません。今まで何度か、主催者からのお誘いをいただくこともありましたが、ビジネスとして関わってしまうと、お客様に対して資格評価の公平性・客観性を維持できなくなるため、すべてお断りしてきました。
ただし、お客様からご希望があった場合、いずれの資格試験でも個別サービスとして、試験対策を一緒に考え、解答サポートをしております。
当スクールでの資格対策コースとしては、客観的に見て費用対効果の高い、以下の資格対策コースだけ、ご用意しております。
Microsoft Office Specialist (MOS) オデッセイコミュニケーションズ
MOS の Word / Excel / PowerPoint / Access に対応しております。
Word / Excel の上級レベル(エキスパート)試験対策をご希望の方は、合わせて実践コースをお取りください。
基本情報技術者試験 IPA 情報処理推進機構
対策コースとしては、基本情報技術者試験の対策になりますが、それより難易度が下がる、ITパスポート試験にも対応しております。
ジュニア・プログラミング検定 サーティファイ
ジュニア・プログラミング検定対策は、通常の Scratchコース の中で対応しております。